I like comedies – L.A. Story

 

 

 

今回は私の大好きなスティーヴ・マーティン主演の

ロマンティック・コメディ映画「L. A. Story」

(邦題:L.A.ストーリー 恋が降る街)をご紹介します。

 

 

L.A. Story

 

LAストーリー

 

 

「L. A. Story」は1991年、アメリカで公開された

スティーヴ・マーティン脚本・主演、ミック・ジャクソン監督の

シニカルなロマンティック・コメディ映画。

共演はヴィクトリア・テナント、リチャード・E・グラント、

サラ・ジェシカ・パーカーほか。

カリフォルニア、ロサンゼルスに住む気象学者の人生に起きた

シュールな体験(彼が高速道路情報板から投げかけられる、

恋愛に関しての謎解きのようなアドバイスを受けるシーンを

含む)と、一連のロマンチックなエピソードやファンタジー

要素とL. A.カルチャーの風刺を織り交ぜた物語。

音楽は、Enya(エンヤ)の曲『On Your Shore』、『Epona』、

Exile』と『La Mer (Charles Trenet)』、『I’ve Had

My Moments』、『La Mer』、『Ain’t That A Shame』、

Amazing Grace』『Do Wah Diddy, Diddy』などが使用された。

 


 

あらすじ

ハリス・K・テレマーカー(スティーヴ・マーティン)は、

ロサンゼルスに住んでいる気象学者。

彼はL. A.テレビにお天気キャスターとして勤務しているが、

ロサンゼルスの天気は快晴という予報で終わってしまうこと

が多いため、毎回おどけたコメディを披露し人気を得ていた。

 

 

 

 

しかし、上流階級志向のガールフレンド、トゥルーディ

(マリル・ヘナー)とは行き止まりの関係にあり、L.A.という

浅くて表面的な街での生活に疲れていた。

私生活では満たされない毎日を送っていた彼は、生きている

意味とほんの少しの魔法を見つけたいと思っていた。

 

 

 

 

そんなある日、友人グループとの昼食会で、彼はロンドンから

L.A.に取材に来たジャーナリストのサラ・マクダウェル

(ヴィクトリア・テナント)と運命的な出逢いをする。

 

 

 

 

ある日、トゥルーディのブティックでの買い物に付きあわされた

ハリスは帰宅途中、車がフリーウェイで故障してしまう。

その時、フリーウェイの道路情報板に”あなたは何をすべきかは、

これから出す謎解きをすればわかるだろう”という不思議な

アドバイスが表示される。

ハリスは、この高速道路情報板のメッセージは自分だけに発信

しているのではないかと感じる。

 

 

 

 

一方、先日の昼食会で会ったハリスに興味を持ったサラは、彼に

取材を申し込み、L.A.で生活する他の人々とは違った知性を感じる

ハリスに好感を抱く。

しかし前夫のローランド(リチャード・E・グラント)が週末を

2人で過ごすことを提案。自分との復縁を願っていることを知り、

葛藤する。

 

 

 

 

サラに惹かれ始めるが、彼女に恋人がいると思い込んでいる

ハリスはこれ以上の進展はないと感じ、ブティックで出逢った、

商品のデモンストレーターをしている野心家でちょっとイカれた

女性サンディ(サラ・ジェシカ・パーカー)とデートを始める。

 

 

 

 

ある日ハリスはトゥルーディから呼び出され、自分の

エージェントと親密な関係で3年もの間彼を欺いていた

事実を打ち明けられ、その長年の関係に終止符を打つ。

失意のどん底かと思いきや、ハリスはあの不思議な

フリーウェイの道路情報板の前に立ち「解放された!」

と喜びをあらわにする。そしてフリーウェイの道路情報板

からは”天気が2度、運命を変える”という不思議な

メッセージを送られる。

 

 

 

 

その直後、天気予報が外れたという理由でハリスは自分の

上司からクビを言い渡されてしまう。そして「天気が2度

運命を変える…これが1度目だ」と予言が的中したことを

実感する。

以後、サラに対する想いをますます募らせるハリスに、サラも

彼の人柄に徐々に惹かれていき、フリーウェイの道路情報板の

助けを借りて2人は急接近する。

 

 

 

 

しかし、ハリスはサンディと以前から約束していた週末の宿泊旅行

を断りきれず、彼女と出かけることに。

かたや、サラはローランドに対する義務を感じながらも別れ話を

切り出すため、彼とともに海辺のホテルへと向かう。

そして、ハリスとサラは偶然同じホテルで鉢合わせしてしまい、

最悪の展開となる。

失意の中「もうここにいる意味がない、L.A.を発つ」と言うサラに

ハリスは「僕にその力があったら、嵐を巻き起こして、君の乗る

飛行機をとめてみせる。だからL.A.に留まってくれ」と懇願する。

 

 

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しかし、サラはローランドともハリスとも別れ、一人イギリスに

帰国する決意をする。

彼女を失いたくないハリスは何とか引き留めようと何度もアプローチ

を試みるが、サラの心は固く閉ざされたままだった。

彼女の乗った飛行機がL.A.を離れようとしていた日、ハリスはいつしか

フリーウェイの道路情報板から受け取った”天気が運命のカギを握る”

という不思議なメッセージを思い出していた。そして…

 

 

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この映画を初めて見た時、おしゃれでセンスがいいスティーヴ・

マーティンの相手役のヴィクトリア・テナントのファッション

がどうもあか抜けないという感じがしました。

彼女本人もイギリス人ですが、イギリスのジャーナリストで

インテリで控えめな女性という役柄上、敢えてファッションも

質素なイメージにしたのでしょうか。

 

 

ヴィクトリア・テナントは1984年、アメリカで公開された

スティーヴ・マーティン主演のファンタジック・コメディ映画

「All of Me」に出演していて、その時はジェシカ・ラングに

似た、美人だけど個性を感じない女優さんだな、といった印象を

うけましたが、馬に乗るシーンや立ち振る舞いがしなやかで

どことなく上品さがありました。

 

 

といった役どころでしたが、この映画のサラ役では一転して、

結婚に失敗し恋愛に対して一歩前に踏み出せなくなった、

物静かなインテリ女性を演じていますが、その抑えた演技が

すごくよかったです。

「All of Me」での共演がきっかけとなり1986年に2人は結婚、この

映画の撮影当時は実の夫婦でしたが、1994年に離婚しています。

でも久々に観るとこの2人、別れてしまったのが残念なくらい

お似合いのカップルで、とても自然な感じで好感が持てました。

 

 

 

 

ゲスト出演者も、アメリカのSFテレビドラマシリーズ

『新スタートレック』、映画『X-メン』シリーズでおなじみの

パトリック・スチュワート、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』

のウディ・ハレルソン、デヴィッド・ボウイの奥様のイマン、

『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』のリック・モラニス

などが出演。

また、L’Idiotで軽くあしらわれる客としてチェビー・チェイスが

カメオ出演しています。

 

 

この映画はいたって単純なラブストーリーで、すごく面白いと

いう映画ではありませんし、しかもロサンゼルスを風刺した

映画と来られても日本人の私たちにはピンと来ません。

でも、そこはさすがスティーヴ・マーティン。L.A.カルチャーを

面白くわかりやすく表現しています。

 

 

 

 

L.A.で歩く?ご冗談を!と言わんばかりに、すぐとなりの友人宅に

車で乗り付けたり、「L.A.は毎日晴天だよ」と言って天気予報の

録画撮りをしたり(結果、天気予報が外れて上司にクビにされる)、

L.A.で話題になっているというレストラン”L’Idiot”のL’の次にくる

スペルがIdiot(バカという意味)になっていたり、

ハリスとサラの恋のキューピッドとなるフリーウェイの道路情報板も

いい味出しています。

 

 

また、この映画は出演者の背景で起きている事も見どころの

ひとつで、プロローグの”自転車漕ぎ公園”内で自転車漕ぎに

興ずるスティーヴ・マーティンのうしろで発作を起こし倒れる

人がいたり、フリーウェイで車が故障した場面などは夜空に

白く光る飛行体が飛んでいったりと、見るたびに新しい発見が

あります。

 

 

アメリカの映画評論家、Roger Ebertロジャー・イーバート

は「スティーヴ・マーティンはこの映画の脚本に7年の歳月を

要したと言った。うわべだけのものではないことは映画を観れば

わかると思う。豊富な観察と創造力がここにある。

静かに穏やかに、一連のコミカルな思い付きはとめどなく展開

していく。私はジャック・タチの映画を連想した」と称賛して

いて、長い年月をかけて丁寧に練られた脚本からも、この映画に

対するスティーヴ・マーティンの思い入れがうかがえました。

 

 

 

人は皆、自分には奇跡など起きないものと思い、毎日現実と

向き合い生活している。

そんなある日、まるでおとぎ話のような奇跡が目の前で起きる。

もし、自分にもそんなことが起こったら…と主人公を自分に当て

はめてみる。これは人間の願望を表現した物語ではないでしょうか。

27年経った今ふたたび観ると、あの時の色鮮やかでキラキラした

感動がよみがえる、私のなかで屈指の名作映画のひとつです。