スウェーデンの正統派へヴィメタル / Magnus Karlsson:Last Tribe

 

 

 

今回は、プライマル・フィアやStarbreakerなど多数のバンド、

プロジェクトで活動するスウェーデンが生んだ天才的マルチプレイヤー、

Magnus Karlsson(マグナス・カールソン)と、

彼自身のプロジェクト・バンドLast Tribeをご紹介します。

 

Magnus Karlsson

 

 

Magnus Karlsson(マグナス・カールソン)は1973年11月26日、

スウェーデン、パーストープで生まれる。

幼少期からギターを弾き始め、10歳の時クラシック・ギターの勉強を

するため学校に通った。

Steve Morse、Steve Vai、Allan Holdsworthから影響を受けた彼は

早くから様々なバンドで活動し、ヘヴィメタル、ジャズ、ラテン、

ケルト、フュージョンをプレイしていた。そしてこれらのスタイルを

融合させた独自のスタイルを開発した。

1996年には音楽理論を学ぶべく地元マルメ音楽大学でギター、作曲、

編曲を学ぶ。2000年、同大学で音楽博士号を取得。

1999年にJacob Samuels(元The Poodles)も在籍していたスウェーデンの

ヘヴィメタルバンドMidnight Sunに加入。バンドの3rdアルバム『Nemesis』

より参加する。

2001年には4thアルバム『Metal Machine』をリリースするがMidnight Sunは

ここで活動休止となる。

ほぼ同じ頃、マグナスは音楽学校在籍時に書き溜めたマテリアルを

活かすため自身のバンドLast Tribeを結成。

同年、Anders “Theo” Theanderとの共同プロデュースにより

デビュー・アルバム『The Ritual』をリリース。

バンド創設から参加のヴォーカルRickard Bengtsson(元Armageddon)

ベーシストにDick Lövgren(B、メシュガー)、ドラマーにチリ出身の

Jaime Salazar(Midnight Sun、The Flower Kings、Allen – Lande)を

迎え2ndアルバム『Witch Dance』(2002年)をリリース。

翌年には3rdアルバム『The Uncrowned』(2003年)を立て続けにリリースし、

アルバムは批評家から絶賛される。

 

 

The Ritual(2001)

 

収録曲
  1. Spellbound
  2. Tears Of Gold
  3. Black Widow
  4. Made Of Stone
  5. Blood On Your Hands
  6. Falling
  7. Flying High
  8. One Of A Kind
  9. Ready For The Storm
10. The Ritual(Instrumental)

Magnus Karlsson Guitars, Keyboards, Vocals (backing)
Pär Wallmark Bass
Kristoffer Andersson Drums
Rickard Bengtsson Vocals

 

 

2001年リリースのデビューアルバム。

自身のプロジェクト・バンドということもあり、マグナス・カールソンは

このアルバムで思う存分ギターを弾きまくり高度なギターテクニックを

披露。

ヴォーカリストのRickard Bengtssonは高音域は安定していてそれなりに

上手いのですが、中音域の声に力強さを感じられないところが少々残念。

作詞・作曲を手掛け楽曲も佳作揃い、プロディースも自ら手掛ける

マグナス・カールソンの類稀な才能に感服します。

アルバムではトラック3.の『Black Widow』が秀逸。マグナス・カールソンの

疾走するギターとキーボードのコントラストが絶妙です。

 

 

Witch Dance(2002)

 

 

収録曲
  1. The Gathering (Intro)
  2. Witch Dance
  3. Messenger
  4. Bringing Out The Brave
  5. Wash Your Sins Away
  6. Behind Your Eyes
  7. Wake Up The World
  8. Man Of Peace
  9. The Eternal Curse
10. Agadir(Instrumental)
11. Dreamer

Magnus Karlsson Guitars, Banjo (tenor), Keyboards, Vocals (backing)
Dick Lövgren Bass
Jaime Salazar Drums
Rickard Bengtsson Vocals

 

 

前作に続きAnders “Theo” Theanderとの共同プロデュースによる

2ndアルバム。

速弾きのギターソロを極力抑え、ドラムやキーボード、ギター、

ベースそれぞれのバランスが良いメロディック・パワーメタルといった

印象です。この流れは次のアルバム『The Uncrowned』に引き継がれて

いきます。

『Black Widow』のように疾走感があって派手で目立つ曲はないにしても、

1曲1曲のクオリティが高いのはさすがというしかありません。

全体を通して聴きやすいアルバムとなっています。

イントロ部分が印象的なトラック7.『Wake Up The World』が個人的に

好きです。

 

 

The Uncrowned(2003)

 

 

収録曲
  1. Healer
  2. The Chosen One
  3. Sacrifice
  4. The Uncrowned
  5. Otherworld
  6. April Sky(Instrumental)
  7. Sound Of Rain
  8. Only The Innocent
  9. Full Moon
10. Call Of The Tribe

Magnus Karlsson Guitars, Keyboards, Vocals (backing)
Jaime Salazar Drums
Dick Lövgren Bass
Rickard Bengtsson Vocals

 

 

2003年リリース。

Anders “Theo” Theanderとの共同プロデュースによる3枚目でバンド

最後のアルバムとなります。

「我らこそ正統派ヘヴィメタルの最後の部族」というバンドの物語が

この『The Uncrowned』で完結したと言っていいほど、完成度が高い

作品となっています。

タイトルトラックの4.『The Uncrowned』は名曲中の名曲です。

 

 

このプロジェクト・バンドが、同じメンバーで再び活動を再開して

私たちの前に現れる日を願ってやみません。